2012年12月1日土曜日

Critical Issues for Marketing Research (1)

2012年ももう12月。最後の更新が去年の10月、その前に至っては…というこのブログですが、その間に勤務していた調査会社を退職し、縁あってヨーロッパの大学院におります。 

授業の課題で「以前勤務していた業界の課題と今後についてまとめよ」というものが出たので、せっかくの機会なので調べたことをここにまとめていこうかと思います。 

講師がイギリス人なので、イギリスでのプライバシーの議論や、コミュニティパネルとプロモーションについての倫理などをまとめようかと思っています。その意味では、先日のJMRX勉強会でのレイ・ポインター氏の講演は是非拝聴したかった…。 

提出期限が2013年1月4日なので1ヶ月ほど、かつ何回更新するかも決めておりませんが、よろしければお付き合いください。

@fujiokat


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2011年10月13日木曜日

授業後の教室にて…



Photo by coolmikeol via flickr

生徒: 先生、先週の授業で言ってたマーケティング・リサーチって、意味あるんですか?ヘンリー・フォードも「もし私が顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう。」って言ってますよ。

教授: それは「何が欲しいですか」って言う質問をした場合のことで、欲しいものを聞くことだけが調査ではないんじゃないかな。さっきの自動車の発明の例であれば、人が移動する時どういう手段を使っているか観察することもリサーチになる。

授業で紹介したHBRと言う雑誌に、イノベーションの4類型に関する特集があったのを読んだかな?

生徒: 読んでませーん。

教授: そうか…(読んでおけと言っただろう…)

イノベーションの4類型とは、
1. 破壊的イノベーション
2. 転換持続的イノベーション
3. コマーシャル・イノベーション
4. 持続的イノベーション

そのうち、先週話したような種類の調査はコマーシャル・イノベーションや持続的イノベーションを対象にしているものが多いと私は考える。

生徒: へー。

教授: それに対して、フォードが発明したT型フォードや、最近だとAppleのiPhoneなどは破壊的イノベーションに分類される。

そういった全く新しい何かを作る場合は、今消費者がどのようなものを使っていたり、役立ちそうな周辺技術には何があるかを調べることの方が重要になる。その中で既存製品の不満点や重視点を質問することもあるかもしれないが。

AppleがiPhoneを開発した際は、既存の製品やサービスの問題点を調べたり、加速度センサーのような技術を研究したんじゃないかな。

生徒: じゃあ、先週の消費者への質問を考える課題はやらなくていいですよね。質問じゃなくて、実際に街ゆく人を観察してきます!

教授: う…、珍しく質問にきたと思ったら、それが言いたかったんだろ!締め切りは明日だぞ、言い訳せずにやりなさい!

-完-

上記は全てフィクションです
参考: Harvard Business Review 2011年10月号

@fujiokat


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2011年3月31日木曜日

第11回JMRX勉強会: 消費者が変わればリサーチも変わる



Photo by dotbenjamin via flickr

【JMRX勉強会】
更新が滞っておりましたが、3月22日に開催されたJMRX勉強会に参加してきました。
参加された皆様、ありがとうございました。

今回のテーマは「次世代マーケティングリサーチ」。
同名の著書を出版された萩原雅之さんのご講演+3名のリサーチャーの方とのパネルディスカッションでした。



講演の内容などは岸川さんのみんなのMR.comでご紹介されていますので、書籍の感想と雑感を。

【消費者が変わればリサーチも変わる】
第一章のタイトルである「消費者が変わればリサーチも変わる」が大きなポイントだと思います。
消費者が変われば広告が変わるように、リサーチも変わる。
PESTなどの外部環境が変わればリサーチも変わる。

日本のマーケティングリサーチにおける変化の具体例として会場でも話題に挙がっていたのがネットリサーチ。
しかし郵送からネットというのは技術の変化であって、対象となる消費者との関係は旧来と同じAskingというお話でした。

その意味でListeningなどの次世代リサーチ手法は、
初めて消費者の変化に対応してリサーチが変わる瞬間になるのではと思いました。

その前提となる消費者の変化と次世代リサーチ手法が理解できる本書は、
マーケティングリサーチに携わる全ての方におすすめしたい一冊です。

(なお、Appendixにてこのblogをご紹介いただきました。萩原さん、ありがとうございます!)

@fujiokat


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2010年12月15日水曜日

可視化され、データ化される「つながり」



Photo "Visualizing Friendship" by Facebook

@ats_suzukiさんがマーケティングの寺子屋に『「つながり」を突き止めろ』というエントリーを書かれています。

私もちょうど安田雪さんの著書を読んでいる途中なので、最近読んだTechCrunchの記事と合わせて、一言。

つながりが可視化されるということはデータ化されるということでもあり、現在人と人のつながりだけではなくありとあらゆるものがデータ化されています。

例えば、

1) Getglueのようなインタレストグラフ
Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のように興味関心のつながりの可視化。Getglueはそのインタレストグラフ情報に基づいたリコメンデーション。



同じようなものでは、Twitterでつぶやいた商品履歴などを元にしていると思われるhunch.comのFind a gift for a Twitter userなどもありますね。

Twitterを使っている友人へのプレゼント選びならおまかせ。HunchのGift-O-Maticはかなり使える!

2) Googleのコンテキスト・ディスカバリー
ウェブ閲覧や位置情報の履歴(コンテキスト)をベースにそのユーザーの興味を引きそうなデータを、積極的な検索を待たずに提供するというもの

Marissa Mayer、Googleの現状と未来を大いに語る―コンテキスト・ディスカバリーとは?

インタレストグラフや位置情報などによる精緻なユーザー情報の蓄積は、これからのマーケティング、マーケティング・リサーチとどう共存繁栄していくのか。

私は全てがデータ化される時代のリサーチはより「リアルタイム」、さらには「予測」になるんじゃないかと思っています。JMRAカンファレンスの日産の星野さんの講演内容にも通じるかもしれませんが。

そんなこともあって予測関連のことを遅々とではありますが勉強中。予測の話はまた次回(何冊かの読書リストが消化されてから・・・)

@fujiokat


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2010年12月2日木曜日

2010年度JMRAカンファレンス 2日目ツイートまとめ(牛堂さん編)

昨日に引き続き、2010年度JMRAアニュアルカンファレンス & 第2回APRCカンファレンス東京2日目(11月26日)の牛堂さんツイートです。


研究発表: APRC5ヶ国共同調査研究発表
ushido アジア五カ国調査、満足度で韓国では特に真ん中のニュートラルの回答が多い。オーストラリアは途中脱落が多い。日本は回収率が高く、回答もすぐに集まる。 #JMRX #jmra2010

ushido アジア五カ国調査、日本の対象者は調査経験豊富、履歴も長い。韓国、オーストラリアはそれに次ぐ。動機はインセンティブ。特に日本ではそう。オーストラリアは関与が大事。 #JMRX #jmra2010

ushido アジア五カ国調査、オンラインのスタディには関心を与える事が大事。会場で知り合いがいたら、立ってもらうゲーム。(ちょっと面白かったです。なごんだ。) #JMRX #jmra2010


研究発表: 『アジアのリサーチャーへのメッセージ』
ushido アジアのリサーチャーへのメッセージ 明治乳業リテールマーケティング部長 中島氏 : 中国のGDPの三割は表に出ない裏の収入。価値観の中で自分自身が一番にくる、次は家族、友人、そして勤めている企業と来る。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王グローバルリサーチセンター ナガオサ氏 リサーチは原点に戻るべき「五感を駆使してインサイトしよう!」
花王は「消費者、顧客を最もよく知る企業に」と考えている。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王永長氏: 企業主導から、生活者主導へ、インサイト型、エスノグラフィなど。デジタル的からアナログ的へ。コンテキストを理解する。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王永長氏: 化粧品の調査でも、化粧品だけではなく、生活者を丸ごと理解する。理想の女性像、好きなものから把握する。 そして、生活現場に入り込む。水着をきてもらい、シャワーの現場を見せてもらった。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王永長氏: 五感をフルに使う。…冷蔵庫、カバンの中も見せてもらう。客と店員の会話を聞く。街や部屋の香りを逃がさない。人の集まる場所、流行りの場所に行く。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王永長氏:文脈を理解する。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59190305





ushido 花王永長氏: 買い物意識をブログ形式で取る。例えば、タオバオというサイトをよく利用している。日記もよく利用しており、事実なしでは文脈は読めない。潜在意識を探る為に、リラックスしてもらいグルイン会場でないところで実施する事もある。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王永長氏: 中国では、1.階級社会。2.他人不信、信頼関係は築きにくい。人脈、絆を重視する。3.メンツ、ステータスを重視する。 #JMRX #jmra2010

ushido 花王永長氏: 1.個人のスキルアップから、組織のスキルアップへ。日本人、現地人だけではなく、異なる視点で気づきを増幅。2.共通のニーズと地域固有の価値観両方を見る。 3.言語…(すいません、追いつけなかった) #JMRX #jmra2010

ushido 資生堂、下森氏: 資生堂市場情報室は2009年4月に発足。こういう組織図。4つのグループ。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59197415




ushido 資生堂、下森氏: 今後の取り組み課題 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59199833




ushido パネルディスカッション、P&Gの方から鋭い質問が…、「生活者の理解は重要だが、アクションに結びつけることを考えると、どうバランスを取るべきか?」 #JMRX #jmra2010


研究発表: 『日本のリサーチ最前線』
ushido インテージ 中村耕史氏 「新興国におけるペルソナの作成と活用」
共通課題 1.不十分な市場及びターゲット理解2.現地に適合したマーケティング戦略やビジネスモデル構築 3.急速に変化している環境にへの対応 4.コミュニケーションの壁 #JMRX #jmra2010

ushido インテージ 中村耕史氏 : ペルソナは共通理解、生活感を含めて意思決定するために用いる。特定のセグメントを象徴する生活者像である。 #JMRX #jmra2010

ushido インテージ 中村耕史氏: ペルソナの作成手順、まずは定量調査で対象者条件を合意する。そこから定性調査を実施し、ペルソナを作成する。インドネシアの事例。家庭訪問を行った。富裕層と中間層の暮らしを見た。 #JMRX #jmra2010

ushido インテージ 中村耕史氏: 家計支出を使ってセグメントを行った。ペルソナ作成の手順。各ステップで現地社員に参画してもらった。(写真は手順です→) #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59224554




ushido インテージ 中村耕史氏 :バイオリズムの曲線を書いてもらいライフイベントを把握し、フォトソートを用いて価値観を把握した。写真はフォトソート→手ブレすいません #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59225119




ushido 電通リサーチ板倉氏:新しい消費プロセスモデル 「SCAP」消費プロセスを評価と行動深度の二次元で構造化。 #JMRX #jmra2010

ushido 電通リサーチ板倉氏:新しい消費プロセスモデル 、再購買のプロセスを考慮 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59226172




ushido 電通リサーチ板倉氏:遷移のKPIの比較 ブランドによって差異があり、深度の深い顧客が現象しているブランドPがあり、減退の直前かもしれない。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59227235




ushido JR東日本企画中里氏: 「駅消費研究プロジェクト」 一般的になった駅消費。 調査目的は駅消費の実態把握、特徴把握。衝動的な買い物をしているのではないか?買い物の前後のプロセスも聴取。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59228890




ushido 駅消費、R&D多久和氏:買い物の4割以上は駅または、駅周辺で行われている。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59229273




ushido 駅消費 R&D多久和氏: 駅ナカでは5割位がお店を見て衝動的に購買する非計画購買が多い。特に残業後の帰宅時の非計画購買が多い。 #JMRX #jmra2010

ushido JR東日本企画中里氏: 移動者マーケティング、移動者のインサイトを掴み、タイムリーに価値提供する事で、購買に結びつくのではないか? #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59231397




ushido NTTデータスミス松本氏:コマーシャルテストの新しいアプローチ、生体反応調査 バイオメトリクス調査を行った。 #JMRX #jmra2010

ushido NTTデータスミス松本氏:バイオメトリクス調査でTVCMを評価。脳波以外にも電気反射なども用いた。従来型の調査との比較を行った。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59232211




ushido NTTデータスミス松本氏:筋電図も用いた。エクシリムのCMなどを見てもらった。ダイナミックフォトという機能のあるデジカメ。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59232585




ushido 松本氏:CMのシーンで高い反応が見られるシーンがある。カシオのCMと分かるシーンでは面白いという反応見られたが、最後は反対に。男女差も見られ、女性はタレントの出るシーン以外はニュートラルだった #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59233235




ushido NTTデータスミス松本氏:バイオメトリクス調査では、冒頭のシーンでの反応など従来型の調査では分からない事もわかった。 #JMRX #jmra2010

ushido NTTデータスミス松本氏:バイオメトリクス調査のみでわかった事。言語を介する調査では分からなかった反応を測定できる。有効なクリエイティブが分かる。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59234205




ushido ジャパンカンターリサーチ嘉手刈氏、臼田氏:「在宅介護者を対象としたブログ調査」 家から離れららない方への調査に向いている。介護にまつわる心理の把握に向いている。投薬状況、通院状況の把握を行った。 #JMRX #jmra2010

ushido ジャパンカンターリサーチ嘉手刈氏、臼田氏:ブログ上でディスカッションを行った。調査期間は3週間。普段調査にきていただけない方に来てもらえるが、最後まで参加していただけるのかなど懸念点はあった。 #JMRX #jmra2010

ushido ジャパンカンターリサーチ嘉手刈氏、臼田氏、こちらが聞きたい事だけではなく、対象者が関心を持つ事や、息抜きの話題を行った。モデレーターはお題を出すが一問一答ではなく参加者同士のやりとりを促進。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59235630




ushido ジャパンカンターリサーチ嘉手刈氏、臼田氏、参加者自信が情報を求めているものや、関与度が高いがオープンにしにくいニッチなトピックに向いていると考えている。
焦らず、欲張らず、飽きさせないことが大事。 #JMRX #jmra2010
"
ushido ジャパンカンターリサーチ嘉手刈氏、臼田氏 消費者に謝礼以上のベネフィットを提供できた。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59236790




基調講演: 日産自動車株式会社 執行役員 市場情報室長 星野朝子氏
ushido 日産自動車 星野氏:日本や北米、欧州では自動車の需要は低迷、BRICsでは消費が拡大している。2010年にはとうとう日米欧の割合は5割を切った。社内の優先順位を変更することを余儀なくされた。 #JMRX #jmra2010 http://plixi.com/p/59242184




ushido 日産自動車 星野氏: 現地の人は流線型の車が欲しいというが、先進国の常識で捉えると間違えてしまう。それはAピラーが寝ている車という意味ではない。現地での「流線型」の意味を解釈しなければいけない。 #JMRX #jmra2010

ushido 日産自動車 星野氏:現在の市場だけを聞いてしまうとCクラスのハッチバックなどほとんど売れていない。
セダンを欲しい人は「人が買うから」しかし、ハッチバックを欲しい人はアスピレーションを感じており、可能性があると判断した。 #JMRX #jmra2010

ushido 日産自動車 星野氏:中国でハッチバックがダメだったのは、「今、市場にある車が魅力的ではないからではないか?」
日本と米国と何が同じで、何が違うのか?異なるニーズを元に同じ車を作らなければならない。 #JMRX #jmra2010

ushido 日産自動車 星野氏:将来をどう予測するのか?「今◯◯がいい」と言っていても、五年後も同じとは限らない。「じゃあ、消費者に聞く必要はないのか?」そんなことはない。 #JMRX #jmra2010

ushido 日産自動車 星野氏:「予測はどうすればいいのか?」バブルの崩壊後、景気がよくなればセダンに回帰すると信じていた。トレンドの背景を予測する。バブルが崩壊して、仕事ではなく家族と楽しく過ごした人が、セダンに戻るのか?そこを考える。 #JMRX #jmra2010

ushido 日産自動車 星野氏:EVが売れるかどうか?充電設備もないのに、こんな事は普通にリサーチしてもネガティブな結果しか出ない。本当にカスタマードリブンな世の中を作るためには、リサーチャーは何をすればいいのか? #JMRX #jmra2010

ushido 日産自動車 星野氏:カスタマードリブンなリサーチを期待している。 #JMRX #jmra2010


おわりに:
ushido 僕は、あるべき未来をイメージするというか、「意思」が必要だという発言だと受け止めました。RT @ittekou 個人的な感想では、「未来を予測するのより創りだした方が・・・」っていう結論だと受け止めてしまった。内容にちょっとついていけなかった。 #JMRX #jmra2010

ushido 完全に頭二つ分くらい抜きん出てましたからねー。圧勝でしたよ! RT @sakihirojp: プレゼン内容も素晴らしかったですからね。おめでとうございま~す! RT @szkmakoto: やった、スミスが最優秀賞でした! #jmra2010


JMRAのホームページを見ると、当日の画像・映像も一部YouTubeにアップされているようですね。


何かご意見などございましたら、ぜひコメント欄に記入くださいませ。

@fujiokat


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